(そこそこ長め)電気の話

昨日の記事(↓)で「文明の力を享受しながら、文明を否定するような言動をすることに違和感がある」といいましたが、その最たるものが電気の話かなあと思います。

「電気が安定供給されること」ってスゴいことだし、関係各位の並々ならぬ尽力の賜物だと思うのですが、そのことを横に置いて「発電所がどうのこうの」って活動を目にすることが多いなあ、と。

「発電方法に文句を言うなら『季節や昼夜を問わず、安定的に電気が使える生活』は諦めるってことでいいね?」というのをそういう活動される方には確認したいところです。

そもそも色んな発電方法がありますが、それを簡単にまとめてみますよ。可能な限りスタンスに囚われずに書いてみますが、多少自分なりの解釈が入るかも知れませんがご容赦を。

種類メリットデメリット
火力発電・時間や季節に囚われず、安定かつ高出力の発電が可能。・石油や天然ガス等の産出力が殆どゼロの我が国では燃料のコストがとても高い。
・化石燃料を大量に燃やすため、CO2排出量がとんでもない
・我が国においては火力発電所が軒並み老朽化していて、エンジニアのメンテナンスによりどうにか運用できている状況である。火力発電所にいつ寿命が来るか分からない状況であり、そうなった途端に安定供給が止まる。
水力発電・燃料を使わないので発電コストが抑えられる。
・燃料を使わないので各発電方法と比べてもトップクラスに環境に優しい。
・「電気の素」である水は海に流れて雲になり、山に雨を降らせるので、再生可能エネルギーである。
・発電量が少なく、日本全体をまかなえるものではない。
・ダムの建築費用が高い。
・生態系への影響が懸念される。
・夏場に水不足になると電気の安定供給が出来なくなる。
原子力発電・燃料による発電コストが少なく、安定かつ高出力な発電が可能。・発電を停止するのに時間がかかる。
・事故(メルトダウン)による放射線のリスク(環境面、風評被害など)が大きすぎる。また、有事の際に標的になりやすい。
・使い終わった放射性廃棄物の処理も放射線リスクを伴う。
太陽光発電・発電そのものには環境リスクがない。
・ソーラーパネルをつければ発電できるため、サイズを小さくできる。
・太陽光は際限なく使えるため、再生可能エネルギーである。
・原子力や水力などに比べると安全。
・発電の環境リスクは無いが、発電量を増やすためにはとにかく太陽光を受けるための場所が必要で、ソーラーパネル設置に伴う環境リスクがある。林の伐採とか、田畑に使える土地の減少とか。
・曇天のときは発電効率が落ち、夜は発電できない。また、冬は夏に比べて出力が低下するため、安定供給は困難。安定化するには蓄電池が必要だが、個人レベルならともかく国家レベルの安定性を求めるには蓄電池が用意できない。
風力発電・風は際限なく使えるため、再生可能エネルギーである。・発電力はそれほど高くない。
・騒音の問題がある。
・設置可能な場所が限られる。
・時間や季節、天候により風量も風向も異なるため、安定性に欠く。
地熱発電・地熱は際限なく使えるため、再生可能エネルギーである。・火山の近くなど、発電可能なところが限られる
・人が入る温泉を潰して地熱発電にかえられる?
水素発電・発電による環境への影響が少ない
・水素精製の方法によってはCO2を排出しない(CO2を出すものもある)
・インフラ整備が必要。
・水素爆発のリスクあり。
・将来性はあるが、実質的に開発段階で、まだまだこれから。
バイオマス発電・廃材やゴミ、木材などを燃やすため、カーボンニュートラル(CO2を作った分だけ吸収や除去をして差し引きゼロにする)に繋がる・燃料の安定供給が難しい
・小規模発電向き(個人利用)
メタンハイドレート発電・燃焼による発電が可能であるため、インフラ整備がしやすい
・通常、メタンの燃焼にCO2が排出されるが、CO2排出なしでメタノールに変換する技術研究もあるらしい
・我が国においては海底に多く埋蔵しているとされている
・採掘が困難
・まだまだこれから。

とりあえずいろいろ挙げてみました。これを見ると、これからの発電方法を別にすれば、完璧な発電方法なんて無いというのがわかります。

現段階において、人間が安定した電力を求めるなら何かしらのリスクを負わなければならないし、リスクを負いたくないなら安定供給を諦めるしかないんだとおもいます。そして、現代社会において、電力の安定供給ができないというのは、イコール生産力の低下でもあるので、もしかしたら食料不足とかにも繋がるかも知れません。少なくとも、今よりも生活レベルを数段下げざるを得なくなると思います。

その辺を踏まえて、どういうスタンスを取るか考えるべきなんじゃないかなあと思います。

ぶっちゃけ、自分はそんなの無理なんで、発電によるリスクとうまく共存する道を選びたいですけど。